• 【わたしも履歴書7】 MADE IN WORLD 誕生前夜

【わたしも履歴書7】 MADE IN WORLD 誕生前夜

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1988年、僕が大学6年生の年です。
というのも御供さんのアシスタント業が忙しく、そして楽し過ぎていつしか学校に通わなくなり3回目の4年生になってました。


確か3月の後半、春休みの時期でたまたま代官山をブラブラ歩いていた時のことです。向こうから見慣れた顔の少年が歩いて来ました。
『アースホール』によくたむろしていた高校生軍団のうちの一人でした。
僕は何気なく 、「久しぶり!あれ、確か卒業じゃなかったっけ?次どうすんの?」と彼に尋ねると、 「いやぁ、ファッションの専門学校に入るのは決まったんだけど、親が店でもやってみれば、って言ってくれてるんでどうしようかな?って思って。」という答えが。


僕は無意識のうちにこう返していました。
「ウソ!面白そうじゃん!いっしょにやろうよ。」この一瞬の出会いと立ち話から生まれたのがMADE IN WORLDです。


まだたった18歳のこの少年の名は小島進、ニックネームは「ブーちゃん」。
全然太ってなんかないんたけどそんなあだ名で呼ばれていて、いつしかみんな彼のことをそう呼んでいました。高校を卒業したばかりで一度も働いたことのない少年と、ファッションは好きだけどバイイングはおろかショップでのバイト経験もない23歳の僕が、洋服屋なんて出来るワケないですよね、普通は。
向こう見ずというか世間知らずというか、今なら絶対に無理だって思っちゃうことが実現してしまうんです、この出会いから8ヶ月後に。


今のフイナム読者の方々はMADE IN WORLDのこと知らないだろうから軽く解説を。
渋谷のファイヤー通り(原宿から渋谷に向かう山手線と並行した消防署がある通り)にオープン。
インポートモノの品揃えからスタートし、その後ラルフ ローレンの『ビッグ ポロ』の火付け役となり大きなブームへ。
途中から「テンダーロイン」「コアファイター」「SOPH.」などのドメスティックブランドをセレクトした形態へ。
並行してショップオリジナルブランド「KNOT」が人気に。
その後原宿、名古屋、京都と直営店を拡大。残念ながら2015年に閉店。
 

 


話を戻しましょう。僕とブーちゃんは素人丸出しで店作りに奔走します。

場所はどうしよう、店名は、どんな品揃えにする、そもそも買付けってどうやればいいの・・・と、基本の手前の部分で右往左往。

よくもまぁそんなレベルで店が作れたなと我ながら呆れてしまうところもありますが、素人だったからこそ常識や前例に捉われない自分たちが面白いと思うこと全てをぶち込んだ純度の高いお店になったんだとは思います。
店名とロゴは僕が考えました。MADE IN WORLD、直訳すると『世界製』。世界中の面白いものを縦横無尽に品揃えしようというコンセプトです。

それに従ってロゴマークは地球儀の上に王冠が載っているもの。

僕が手書きで描いたものを印刷屋さんがフィニッシュしてくれました。
 
 
1988年のロンドンの街並み


 
肝心の買付けですが、海外の展示会に行くにも手段がわからないしそもそもオーダーできたとしてもオープンに間に合わない。

こうなったらキャッシュをありったけ握りしめて現物買いするしかないってことに。

そこで当時、僕と同い年でDJやったり渋谷の「ワンダーボウル」ってカフェバーで働いていたオリタくん(aka DJ MARBO)がロンドンに移住していて、彼を頼ってイギリスモノを買付けしようということに急遽決まりました。

僕にとっては初めての海外旅行がいきなりの買付けツアー、ある程度商品が見つかるまでは帰れないのでオープンチケットにして帰りは未定。

途中でパリも行ってみようってことになって現地でチケット購入と、文字通りの珍道中となるワケですが、ここから先の話は次回にさせていただきます。